2025年8月31日 19時21分 ウクライナ情勢 ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始したあと、中国からロシアへのオートバイの輸出が1.7倍に増えていることがわかりました。専門家はロシア軍が大量のオートバイを戦場に投入していることが影響している可能性があるとの見方を示したうえで、「ロシア軍を戦場で優位にしている」と分析しています。 税関当局のデータなどを分析したJETRO=日本貿易振興機構によりますと、中国からロシアへのオートバイの輸出台数は去年、およそ83万3000台で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まった2022年と比べると1.7倍に増加しました。 これについてアメリカのシンクタンク、戦争研究所のカテリナ・ステパネンコさんは、増加の背景にはロシア軍が大量のオートバイを戦場に投入していることが影響している可能性があるとの見方を示しました。 戦争研究所によりますと、ロシア軍はオートバイを去年の秋ごろから戦場に投入し、ことし6月までにはオートバイの活用方法をまとめた「運用規範」も作成し、本格的に運用を始めたということです。 去年1年間にロシア軍に納入された中国製のオートバイはおよそ2万台とみられるということです。 ウクライナ軍の当局者はNHKの取材に対し「戦場で押収されるオートバイのほとんどが中国製だ」と話しています。 また別の関係者は「ロシア国内の製造能力だけでは戦場で急増する需要に追いつかないためだ」と話しています。 戦争研究所のステパネンコさんは「オートバイなどの軍事転用が可能な装備の中国からの輸入は、戦場に多大な影響を及ぼし、ロシア軍を優位にしている」と話していました。 ロシア軍 戦場にオートバイ投入 “戦車のかわり”か 戦争研究所は、ロシア軍が戦場にオートバイの投入を始めたのは去年の秋ごろからで、ことし6月までにはオートバイの活用方法をまとめた「運用規範」を作成し、本格的な運用が始まったと指摘しています。 戦場では主に、偵察や、突撃する歩兵部隊の輸送手段として使われているということです。 オートバイが戦場に投入された背景として、去年ウクライナ軍の無人機による攻撃でおよそ3000両の戦車を失ったとされるためだと指摘しています。 無人機の標的になりやすい戦車のかわりに、機動力が高いうえ小回りもきくオートバイを投入することで、損害をおさえるねらいがあったとみられます。 ロシア国防省がことし4月に公開した訓練の映像には、オートバイに乗った兵士が障害物を避けたり、爆発を回避したりしながら走行する様子が映っています。 一方、ウクライナ側がことし5月に公開した映像にはロシア軍の兵士らが所属部隊を表すとみられる旗を掲げたオートバイに乗り、一列になって走行する様子が確認できます。…