長崎 原爆で焼失した国宝の寺 被爆前に撮影の動画見つかる | NHK

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長崎 原爆で焼失した国宝の寺 被爆前に撮影の動画見つかる

長崎県

長崎に原爆が投下されてからことしで80年となるなか、原爆で失われた長崎市の国宝の寺を、被爆前に撮影した動画が残されていたことがわかりました。寺の様子は写真などでは確認されていましたが、動画が見つかったのは初めてで、専門家は「かつての姿を立体的に見られるようになり、第一級の資料だ」と話しています。

残されていたのは、長崎市にあった国宝の唐寺、福済寺(ふくさいじ)を昭和5年(1930年)ごろに撮影した41秒間の白黒の動画です。

明治後期から昭和にかけて活躍した歌舞伎俳優、二代目中村芝鶴が撮影し、NHKに寄贈したフィルムの中から見つかりました。

福済寺はおよそ400年前、寛永5年に創建され、幕末には坂本龍馬と勝海舟が宿泊したことで知られ、昭和2年に国宝に指定されました。

しかし、原爆の投下で爆心地から2.6キロ離れた福済寺は焼失し、国宝としての指定も取り消されました。

動画には寺の外観のほか、原爆の被害にもかかわらず、現在も寺の敷地内に奇跡的に残っている常夜灯が、正面の門の奥に映っているのが確認できます。

長崎大学の姫野順一名誉教授によりますと、福済寺の様子は写真や絵はがきでは確認されていましたが、動画が見つかったのは初めてだということです。

姫野名誉教授は「幻としか言えない福済寺の姿を立体的に見ることができるようになった意義は大きく、第一級の資料だ」と話しています。

福済寺 住職「80年前にタイムスリップ」

福済寺の三浦秀元住職は「これまではかつての寺の姿は平面的なものでしか見たことがなかったが、立体的なもので見てすごい建物だったと感じた。被爆者もどんどん減っていくなかで、80年前にタイムスリップできたのは本当に動画のおかげであり、感謝しかない」と話していました。

博物館学芸員「映像出てきたのは恐ろしさ伝えるため」

長崎歴史文化博物館の長岡枝里学芸員は「福済寺という長崎のシンボル的な存在だった寺が失われてしまったことは、日本全国で衝撃だったのではないか。今回のような映像が出てきたことは、あれだけ立派なものが一瞬でなくなってしまうという恐ろしさを伝えるためだと感じている」と話していました。

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