
米国務省 パレスチナ暫定自治政府当局者らに制裁 ビザ発給制限
アメリカ国務省は、パレスチナ暫定自治政府の当局者らがテロを支援しているなどとしてビザ発給を制限する制裁を科すと発表しました。フランスやイギリスなどがパレスチナの国家承認に向けた動きを示すなか、立場の違いを鮮明にしたかたちです。
アメリカ国務省は7月31日、パレスチナ暫定自治政府の当局者やPLO=パレスチナ解放機構のメンバーらに、ビザ発給を制限する制裁を科すと発表しました。
理由については、ICC=国際刑事裁判所などを通じて、イスラエルとの対立を国際問題化しているほか、教科書などで暴力を扇動したり、たたえたりして、テロを支援しているなどと主張しています。
発表では制裁の対象となる人が誰なのかを明らかにしておらず、アメリカのメディアは今回の制裁によって9月開かれる国連総会の際に、パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長らのアメリカへの入国が禁じられるかどうかは不透明だと報じています。
ガザ地区での戦闘に終わりが見えず、パレスチナの国家承認に向けた動きをフランスやイギリス、それにカナダが示すなか、今回の制裁はこれらの国と一線を画し、イスラエルを強く支持するアメリカの立場を鮮明にしたかたちです。
“国連総会でアッバス議長らの入国は不透明” 米メディア
アメリカのメディアは今回の制裁によって、9月ニューヨークで開かれる国連総会の際、パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長らのアメリカへの入国が禁じられるかどうかは不透明だと報じています。
アメリカは国連と結んだ協定で、加盟国の代表団の入国を妨げないことが求められていて、国連のハク副報道官はNHKの取材に対し「アメリカが協定にしたがって、ホスト国としての義務を果たすことを期待する」とコメントしました。