福島第一原子力発電所の事故で溶け落ちた核燃料デブリの本格的な取り出しに向けて、東京電力が具体的な工法を検討した結果、必要な準備に12年から15年程度かかるとする見通しをまとめたことが、関係者への取材でわかりました。現在の工程表で、2030年代初頭としてきた本格的な取り出しの開始時期は、2030年代後半以降にずれ込むことになります。
福島第一原発では、事故で溶け落ちた核燃料と周りの構造物が混ざり合った核燃料デブリが、1号機から3号機まであわせて880トンあると推計され、その本格的な取り出しは廃炉で最大の難関とされています。

政府と東京電力の工程表では、2030年代の初頭から3号機で本格的な取り出しに着手するとしていますが、東京電力が具体的な工法を検討した結果、必要な準備に今後12年から15年程度かかるとする見通しをまとめたことが、関係者への取材でわかりました。
これにより、本格的な取り出しの開始は2030年代後半以降にずれ込むことになります。

具体的には、3号機の原子炉建屋の上部から装置を入れて、原子炉や格納容器の中にある核燃料デブリを砕くなどした上で横から回収していく案を検討していて、建屋の上部に新たな設備を作ったり、周辺の放射線量を下げたりする作業に時間がかかることがわかったということです。
政府と東京電力は事故から40年となる2051年までの廃炉完了を目指していますが、多くの工程が当初の計画から遅れていて、実現性は不透明な状況です。