破傷風のワクチン 出荷停止 “けがの際 入念に洗浄を” 学会
傷口から感染する感染症「破傷風」のワクチンを製造する会社は、製造工程の再検証が必要になったとして、当面、出荷を停止すると発表しました。日本救急医学会などは、破傷風の予防に影響が出る可能性があるとして、けがをしたときは入念に傷口を洗浄するなど、注意を呼びかけています。
破傷風は、土の中にある「破傷風菌」が傷口から入り込むことで感染します。
感染すると、顔面のけいれんや飲み込むことが困難になるなどの症状が現れ、進行すると、呼吸困難を引き起こして死亡することもあります。
けがをした場合、発症を予防するためにワクチンの「破傷風トキソイド」が使われますが、製造会社の「デンカ」などは、製造工程で行う検査の方法を再検証する必要があるとして、今月9日から当面、出荷を停止すると発表しました。
これについて、日本救急医学会と日本外傷学会は「救急・外傷診療の現場で大きな影響を及ぼす可能性がある」として、これまで以上に入念に傷口の洗浄を行うことなどを医療関係者に呼びかけています。
日本救急医学会の溝端康光代表理事は「破傷風は子どもの時に予防接種を受けるが、得られた免疫は10年程度で低下するといわれている。夏は半袖やサンダルなど、体が露出した服装で外で遊ぶことも増えるので、けがをしないよう気をつけてほしい。もし、けがをしたときは、傷口の泥や砂を十分きれいに洗い流すことが重要だ」と呼びかけています。