物価上昇など重要課題について 首相がどう実行していくか焦点 | NHK

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物価上昇など重要課題について 首相がどう実行していくか焦点

物価高騰

参議院選挙を受けて、自民党総裁の石破総理大臣は21日午後に記者会見し、国政に停滞を招いてはならず、比較第一党としての責任を果たしたいとして、総理大臣を続投する意向を正式に表明しました。

参議院でも少数与党となる中、今後の経済財政運営は、物価上昇への対応をはじめとする重要課題について、野党の主張を踏まえながらどのように実行に移していくかが焦点となります。

当面の課題 物価上昇への対応

当面の課題となるのが物価上昇への対応です。選挙戦で与党側は給付を軸足に訴えたのに対し、野党側は減税に力点を置きました。

このうち消費税については廃止、一律5%への引き下げ、食料品にかかる税率の引き下げなど、各党の主張する減税の幅や対象、期間は異なります。

財務省によりますと、消費税は社会保障の重要な財源で仮に軽減税率も含めて一律5%にした場合、15兆円規模の減収となり、軽減税率のみ8%から0%に引き下げると4兆8000億円の減収になるとしています。

石破総理大臣は、21日の会見で物価上昇への対応について「今回の選挙戦での議論を踏まえ、財政に対する責任も考えながら、党派を超えた協議を呼びかけ、結論を得たいと考えている」と述べました。

消費税以外に、所得税の「年収の壁」の引き上げや社会保険料の軽減などを掲げた政党もあり、今後、効果的な政策のあり方や財源の確保策について議論が活発に行われる見通しで、どう実行に移していくのかが焦点です。

ガソリン税の暫定税率の扱いも注目

また、ガソリン税のいわゆる暫定税率の扱いも注目されます。

ガソリン税の暫定税率は去年、自民・公明両党と国民民主党との間で廃止することは一致していて、与党側は年末の税制改正の議論の中で検討したいとしていますが、野党側は早期の廃止を求めています。

先の通常国会では野党側が7月の廃止を求める法案を出し、衆議院で可決され、参議院では与党側と折り合わずに廃案となりましたが、激しい論戦が繰り広げられました。

選挙結果を受けて、廃止時期や財源などをめぐる与野党間の協議がどう進むのかがポイントとなります。

“25%関税”への対策も課題

さらに、アメリカのトランプ政権が日本からの輸入品に25%の関税を発動するとしている8月1日が迫る中、国内の対策も課題です。

関税の影響を受ける事業者などに対してどのような支援を行うのか、その内容や規模に関する議論も予想されます。

このほか、今年度末に普通国債の発行残高が1100兆円余りに上る見通しとなっている厳しい財政状況の改善策や、医療や年金などの社会保障制度の持続性といった中長期的な課題について、どのように対応していくかも問われることになります。

日米の関税交渉 進展なるか

日米の関税交渉をめぐっては、8月1日が迫る中、合意の実現に向けて交渉を進展させられるかが焦点です。

石破総理大臣は21日の記者会見で「アメリカの関税措置についてはわが国の国益を守り抜くことを大原則に、『関税ではなく投資』という考え方を基盤に、日米双方にとって利益となる合意を実現していく」と述べました。

トランプ政権はことし3月以降、各国に対する関税措置を相次いで発動し、日本には現在、自動車への25%の追加関税や、幅広い輸入品に対する10%の一律関税などが課せられています。

措置の見直しに向けて日本側は、巨額の投資やアメリカ製品の輸入拡大などによる貿易赤字の削減を提案してきましたが、合意には至っていません。

こうした中、7月7日、トランプ大統領は日本からの輸入品に8月1日から25%の関税を課すと明らかにしました。

期日が迫る中、赤澤経済再生担当大臣はラトニック商務長官やベッセント財務長官らと交渉するため、21日ワシントンに向けて出発しました。

石破総理大臣は会見の中で「私自身、できるかぎり早期にトランプ大統領と直接話し、目に見える成果を出していきたい」と述べていて、合意の実現に向けて交渉を進展させられるかが焦点です。

農業政策の課題

農業政策をめぐっては、コメの品薄や高値を受けて生産者に増産を促すとともに、どのような支援策を講じるかが焦点になります。

コメの価格は去年の秋以降、値上がりが続き、一時は前年の2倍を超える水準になりました。

値上がりの背景には、コメの価格を維持するため、家畜のエサ用などに手厚い交付金を出しつつ、主食用の生産量を抑制してきた政策があるとして、政府への批判が強まっています。

こうしたことから今回の参議院選挙では、多くの野党が「増産すべき」と訴えた一方、与党側も石破総理大臣が増産を主張したほか、公明党も「増産方針を明確に示す」としていて、増産に切り替える方向性に大きな違いはみられません。

ただ増産した場合、主食用のコメの価格は下がる可能性があることから、その場合の農家への支援策として、野党側からは「所得補償」が必要だという主張が目立っています。

この政策をめぐって専門家からは、多くの農家が補償を受けられる一方、生産の集約につながらず農業の体質が強くならないほか、巨額の財政支出が必要になるという指摘もあがっています。

政府は、2027年度からコメに関する政策を根本的に見直す方針を明らかにしていますが、野党側の主張も踏まえどのように農業政策を設計するかが注目されます。

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