法務省有識者会議 取り調べの録音・録画対象拡大 意見分かれる

法務省

刑事司法制度のあり方を議論してきた法務省の有識者会議が報告書をまとめ、取り調べの録音・録画の対象範囲の拡大については意見が分かれたため、具体的な方向性は示しませんでした。
一方で、自分の罪を認める見返りに刑を軽くしてもらう新たな「司法取引」の制度について検討すべきだと提言しました。

2022年に設置され、刑事司法制度のあり方について議論を続けてきた法務省の有識者会議は24日、報告書をまとめ国に提出しました。

報告書では、裁判員裁判の事件などで義務づけられている取り調べの録音・録画について、近年、不適正な取り調べが相次いでいることを背景に、「すべての事件に拡大すべき」という意見が出されました。

一方、検察や警察の委員からは「容疑者から供述を得にくくなる」とか「警察では年間110万件もの取り調べを行っていて、負担が大きい」として反対する意見も出され、報告書で対象範囲の拡大について、具体的な方向性は示しませんでした。

また、報告書では「他人」の犯罪の捜査に協力する見返りに刑を軽くしてもらう現在の「司法取引」の制度は「広く活用されているとは言えない」として、「自分」の罪を認める見返りに刑を軽くしてもらう新たな制度について、調査や検討を始めるべきだと提言しました。

そのうえで、こうした課題について国に具体的に検討を行うよう求めました。

法務省は「報告書の内容を検討し、対応していく」としています。