広島と長崎に原爆が投下されてから80年になるのを前に、被爆者や外交官などが参加して核兵器廃絶への道筋を議論するシンポジウムが広島市で開かれました。
このシンポジウムは、核兵器廃絶への道筋を考えようと広島市などが開いたもので、被爆者や外交官、それに研究者などが参加しました。
この中で、広島で被爆したあと、カナダを拠点に活動し、核兵器禁止条約の成立にも尽力したサーロー節子さん(93)がビデオメッセージを寄せ、「国際情勢がだんだんと悪化し、暗い夜の道を手探りで歩いている思いだ。だからこそ光を求めて核兵器を完全に廃絶する目的のため、働き続けなければいけない。核兵器廃絶の日を私たちが目にすることは夢ではない」と述べました。
この後のパネルディスカッションには、長崎で被爆し、日本被団協で事務局次長を務めている和田征子さんらが登壇しました。
和田さんはことし3月の時点で被爆者が10万人を下回ったことに触れ、より若い世代に被爆者の体験をどう伝承していくかが課題になっていると危機感を訴えました。
その上で、登壇した人たちは核兵器廃絶に向けて、国際的な考え方の分断をおそれずに核兵器の使用の恐ろしさや「核抑止論」の危うさを説明し続けることが重要だということを共有していました。