複数の設計コンサル会社 公取委が聴き取り 実態解明へ 2025年7月16日 18時28分 不動産 関東地方のマンションの大規模修繕工事をめぐり、工事会社およそ30社が受注調整を繰り返していた疑いがあるとして公正取引委員会が立ち入り検査を行った問題で、工事会社の選定に関わる複数の設計コンサルタント会社からも聴き取りをしたことが関係者への取材で分かりました。公正取引委員会は実態の解明を進めています。 目次 元コンサル社員がNHKに証言「素人にはまず見抜けない」 見積もり依頼したマンション管理組合「ぞっとした」 公正取引委員会は、関東地方の複数のマンションの老朽化などに伴う大規模な修繕工事をめぐり、請け負う会社などを事前の話し合いで決める受注調整を繰り返し独占禁止法に違反した疑いがあるとしてことし3月から4月にかけて、都内などの工事会社およそ30社に立ち入り検査をして調査しています。 この問題で、公正取引委員会がこれまでに工事会社の選定に関わる複数の設計コンサルタント会社からも聴き取りなどを行っていることが関係者への取材で分かりました。 大規模修繕工事は、マンションの所有者などで作る管理組合側が発注しますが、組合側に専門的な知識が乏しいため、業者を選ぶサポートなどを設計コンサルタント会社や管理会社に委託する「設計監理方式」を採用することが多いということで、公正取引委員会はこうした方式のもとで数十年前から不正な受注調整が繰り返されていたとみています。 人件費の上昇や資材価格の高騰などを背景に住民たちが積み立てた修繕費用が足りなくなるケースも相次ぐ中、公正取引委員会はマンションの住民の負担がさらに増した可能性があるとみて実態の解明を進めています。 不正な受注調整 繰り返し行われてきたか 「設計監理方式」では、マンションの管理組合が工事を計画すると、建物の診断や具体的な設計などは設計コンサルタント会社や管理会社が担い、修繕工事そのものは選定された工事会社が請け負います。 業者などによりますと、設計コンサルタント会社はマンションの管理会社からの紹介などで管理組合と契約するケースが多いということです。そして、通常は、業界紙などを通じて工事を受注したい会社を募り、各社の料金の見積もりを出させ、もっともすぐれた工事会社を管理組合に推薦するということです。 ところが、関係者によりますと、今回、不正な受注調整が疑われている関東地方の複数のマンションの工事では、工事を請け負う会社は設計コンサルタントや工事会社らの間で事前に決まっていて、その会社がもっともよい条件の提案になるように各社が協力していたとみられるということです。 受注調整に関わった疑いがある設計コンサルタント会社に勤めていた元社員がNHKの取材に応じ、具体的な手法などを明らかにしました。元社員によりますと、少なくとも数年前、マンションの管理組合から大規模修繕工事を受注するため十数社のグループが話し合い、事前に決めた工事を請け負う会社を「チャンピオン」と称して、不正な受注調整が繰り返し行われていたということです。…