520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故から来月で40年です。これを前に事故で当時9歳の次男を亡くした母親が日本航空の社員に向けて講演し、「安全のために少しでもおかしいと思ったら立ち止まれる勇気を持ってほしい」と訴えました。

日本航空で講演したのは、40年前の1985年8月に520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故で当時9歳だった次男の美谷島健くんを亡くした母親の美谷島邦子さんです。

講演には日本航空の社員、1100人余りが参加しました。

このなかで美谷島さんは事故当時を振り返り「毎日、ふとんをかぶって目が腫れるまで泣きました。悲しみに押しつぶされ、ことばは何も出なくなっていました」と話しました。

また、事故機の一部が遺族の訴えで保存され現在、日本航空の施設で展示されていることに触れ「遺族の揺るぎない訴えが大企業の姿勢をも変えました。こうした事故の残骸から命を想像することが安全を守ることにつながります」と話しました。

そして最後に「安全のために少しでもおかしいと思ったら立ち止まれる、臆病者と言われる勇気を持ってほしいです。御巣鷹の空から一緒に安全をつくっていきましょう」と訴えました。

講演を聴いた入社3年目のパイロット訓練生の社員は「安全は大切だとことばにするのは簡単ですがそれを思いとしてどれだけ込められるかが大切だと思いました」と話していました。