
名探偵・金田一耕助シリーズで知られる推理小説作家の横溝正史が、14歳のときに雑誌に応募し、賞を贈られた童話が見つかりました。横溝の作品として確認されたものでは最も古く、専門家は「ストーリーテラーとしての才能がすでに開花していたのがうかがえる貴重な発見だ」としています。

横溝正史は、江戸川乱歩と並び日本のミステリーを切り開いた1人とされ、名探偵・金田一耕助シリーズの作者として知られています。
今回見つかったのは、横溝が14歳の時に応募し、1916年に刊行された雑誌「少年」の10月号に掲載された「三つの林檎」という童話です。
かぜをひいて寝込んだ男の子が3つのりんごを抱える小猿の絵を見ていると、絵から猿が飛び出してりんごをくれるという物語で「横溝葮秋」というペンネームが使われています。
イラストを元におよそ1000字の作品を募集する企画に応募したもので、横溝はこの作品で1等賞となり、賞品の置き時計が贈られたということです。
エッセーでこの作品について言及したことはありましたが、タイトルや具体的な内容はわかりませんでした。
今回、探偵小説研究家の浜田知明さんが入手した雑誌に童話が掲載されていたのを見つけ、横溝の研究の第一人者で、二松学舎大学文学部の山口直孝教授がエッセーで言及した作品だと確認したということです。

横溝の作品として確認されたものでは最も古いということで、山口教授は「話の展開が自然で文章も読みやすい。ストーリーテラーとしての才能がすでに開花していたことがうかがえる貴重な発見だ」と話していました。