大阪母子殺害事件 無罪男性が賠償求めた裁判 地裁訴え退ける | NHK

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大阪母子殺害事件 無罪男性が賠償求めた裁判 地裁訴え退ける

事件

23年前に大阪 平野区で女性と子どもの2人が殺害された事件をめぐり、死刑判決を取り消されて無罪となった元刑務官の男性が、違法な捜査で苦痛を受けたなどとして大阪府と国に賠償を求めた裁判で、大阪地方裁判所は、捜査などの違法性を認めず、訴えを退けました。

大阪刑務所の元刑務官の67歳の男性は23年前、大阪 平野区のマンションで、当時28歳の義理の娘と女性の1歳の長男を殺害した罪などに問われ、一貫して無罪を主張したものの2審の大阪高等裁判所で死刑判決を受けました。

しかし最高裁判所が審理のやり直しを命じ、その後の裁判で無罪が確定しました。

また、現場付近に残されたたばこの吸い殻を警察が紛失し、検察がそれを明らかにせずに裁判を続けていたことも発覚し、男性は、「警察や検察の違法な行為で9年余り拘束された」として大阪府と国にあわせて1億2400万円余りの賠償を求めました。

一方、府と国は、たばこの吸い殻は厳重に保管しなければならない証拠ではなかったなどと反論していました。

判決で大阪地方裁判所の三村憲吾裁判長は、捜査などの違法性を認めず、男性の訴えを退けました。

母子殺害事件の裁判 経緯

2002年、大阪 平野区でマンションの1室が焼け、当時28歳の女性と1歳の長男が遺体で見つかりました。

その後、義理の父親で、刑務官だった男性が殺人と放火の罪で逮捕・起訴されました。

男性は「マンションに入ったことはない」などと無罪を主張しましたが、裁判所は、マンションの階段に残された72本のたばこの吸い殻のうちの1本が、DNA鑑定で男性のものと判明したことなどから有罪と判断し、1審は無期懲役、2審は死刑を言い渡しました。

しかし最高裁判所は、「疑問点が解明されていない」としていずれの判決も取り消して審理のやり直しを命じました。

男性の吸い殻は変色し、吸ってから時間がたっているように見え、男性側は、「事件の前、女性に渡した携帯の灰皿に入っていたもので、女性が階段に捨てた可能性がある」と主張していました。

最高裁判所は、ほかの吸い殻を調べるなどの検証が足りていないことを、やり直しの理由に挙げました。

やり直しの裁判では、男性の吸い殻を除く71本を警察が紛失し、検察がそれを明らかにしてこなかったことが発覚しました。

1審と2審は、「男性が事件当日、現場の部屋に立ち入ったとは認められない」などとして無罪を言い渡し、検察は上告を断念。

男性の無罪が確定しました。

逮捕から無罪の確定まで14年余りたっていて、男性は、このうち9年以上にわたって勾留されていました。

男性は2020年、「警察や検察による違法な捜査などで苦痛を受けた」として大阪府と国に賠償を求める裁判を起こしました。

府と国は争う姿勢を見せ、審理は5年近く続いていました。

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