
大阪・関西万博 半年の開催期間折り返し 暑さ対策など課題に
大阪・関西万博は13日で半年の開催期間の半分を終え折り返しを迎えます。入場者数は順調に推移する一方、観測史上最も早く梅雨明けし猛暑日が続く中で暑さへの対策などが課題となっています。

158の国と地域が参加してことし4月に開幕した大阪・関西万博は7月13日、開幕から3か月となり、半年の開催期間の折り返しを迎えます。
博覧会協会は運営費の黒字を確保できる入場者数をおよそ2200万人と試算しているのに対し、7月11日までの一般入場者数の速報値はおよそ990万人となっています。
開幕当初よりも入場者数は増えていて、過去の万博でも会期の終盤に向けて入場者が増えていることから開幕前に懸念されていた赤字を心配する声は少なくなっています。

一方で、観測史上最も早く近畿地方が梅雨明けし猛暑日が続く中で暑さへの対策が課題になっています。
万博会場は屋内施設が限られ入館するまで外で長時間、待たなければならないパビリオンも多く、気温が高い日の入場者数は少なくなる傾向にあります。
6月から7月11日までに28人が熱中症とみられる症状で会場から救急搬送されたということで、博覧会協会は無料の給水所を増設したり、パラソルやスポットクーラーを設置するなどして熱中症対策を進めています。
博覧会協会 “暑さ対策と混雑の平準化に取り組む”

博覧会協会の石毛博行 事務総長はNHKのインタビューに応じ、入場者数は高いレベルで推移しているとしたうえで、今後は「暑さ対策」と「混雑の平準化」に取り組む必要があるという認識を示しました。
このうち、暑さ対策については「日傘の使用や水分補給を促すことも大事だし、日陰や給水所の設置といったハード面も必要かもしれない。これからの暑さに今の状態で足りているか常にチェックしていきたい」と述べました。
そして「混雑の平準化」については、「会期の終盤」と「午前中の来場」、それに「東ゲートや会場東側」の混雑を挙げそれ以外の時期や時間、場所に入場者が行きたくなるよう取り組んでいく考えを示しました。
これまでの入場者数について「同じ規模の愛知万博やミラノ万博などより一段上のレベルで推移している」と述べ、その背景として「万博を快適に過ごしてもらうため問題を発見して措置を取ることを毎日繰り返している。それが来場者に評価されている部分はあると思う」と語りました。

一方で、チケットを主な収入源とする運営費が黒字になるかどうかについては、「後半に来場者が増える傾向への期待はあるが、台風の影響などは予想を立てづらい。収支は慎重に注視しなければならない」と述べるにとどまりました。
また「レガシー」について「一人一人が万博によって考え方に影響を受けたと思ってほしいし、若い人たちの将来の生き方に役に立つものになってほしい」と述べました。
会場の熱中症対策

大阪・関西万博の会場は屋内で待機する場所が少ないことから熱中症対策の必要性が開幕前から指摘されていました。
博覧会協会は熱中症への対策として▽東ゲートで入場を待つ人たちのためにおよそ3000本の日傘を用意して貸し出しているほか▽日ざしを遮るものがない場所にパラソルや送風機を設置するなどしています。
また、会場内にもともと32か所設置していた無料の給水スポットを先月から倍に増やしたということです。
また大屋根リングの下を通れば涼しく移動できることや、帽子やネッククーラーの着用など個人の対策を呼びかけています。
会期後半 混雑に伴う満足度低下懸念

会期後半に懸念されているのが混雑とそれに伴う満足度の低下です。
入場者を対象に行っているこれまでのアンケートでは、回答した人の8割程度が「満足した」と答えているものの入場者数が増えれば増えるほどパビリオンの予約が困難となり長い行列ができることなどから、満足度が下がる傾向が出ているいうことです。
過去の万博では会期の終盤に向けて入場者数が増える傾向にあり、2005年の愛知万博では最後の2週間は1日平均で20万人以上と急増し収容人数が限界だとして入場制限を行った日もありました。
大阪・関西万博の前売券は全国の企業を中心に開幕までに969万枚が販売されましたが、協会の関係者によりますと半数以上がまだ入場に使われないまま残っているということです。
開幕から2か月までの分析では
▽入場者の67.5%が地元の近畿の人たちで
▽関東が15.5%
▽中部が9.5%などとなっています。
博覧会協会は来場の時期や時間帯の平準化に努めたいとしていて、これまでに入場者が少ない東日本の人たちに夏休みの時期に万博を訪れるよう働きかけたいとしています。
また、花火や盆踊りなどのイベントを夕方から夜に開催するなどして日中の混雑を緩和しながらパビリオン以外でも満足度を高められるようにしたいとしています。