
虐待を受けた子どもなど、児童への事情聴取の技術を向上させるため、警察庁はAIを活用した児童のアバターと対話して訓練を行うツールを開発し、8月から全国の警察で運用を始めることになりました。
虐待や性的な被害を受けた18歳未満の子どもへの事情聴取は、心理的な負担の軽減や供述の信用性確保のため、警察、検察、それに児童相談所の関係機関が協議して、代表者が聴取を行う取り組みが進められていますが、法務省によりますと、2022年度に行われた代表者聴取2722件のうち、警察官が担当したのは、およそ12%に当たる319件にとどまっています。
児童から聴取する機会が限られていることなどを踏まえ、警察庁は、聴取の技術向上のため、AIを活用した訓練ツールをこのほど開発しました。
児童心理学の専門家の監修のもと実際にあった児童虐待事件のデータおよそ250件分をAIに学習させ、5歳から14歳までのアバター8人が受け答えをします。

このうち、母親の交際相手から虐待を受けた5歳の男の子という設定のアバターへの聴取では、警察官が事件に関係のない質問を重ねたあと「どんなことが嫌だったか」と尋ねると、アバターが「ゲームをしていて怒られた。ほっぺたをたたかれて、痛かった」と打ち明けていました。
警察庁は、この訓練ツールの運用を8月から全国の警察で始めるということです。