今年度の最低賃金 議論開始 どの程度引き上げ? 厚労省審議会

厚生労働省

今年度の最低賃金について議論する厚生労働省の審議会が、11日から始まりました。政府が2020年代に全国平均1500円とする目標を掲げるなか、どの程度の引き上げとなるか注目されます。

企業が労働者に最低限支払わなければならない最低賃金は、毎年、厚生労働省の審議会が引き上げの目安を時給で示し、それを参考に都道府県ごとに金額が決められます。

現在の最低賃金は全国平均の時給で1055円となっていて、11日は今年度の引き上げの目安について労使などで議論する、最初の会合が行われました。

この中で、厚生労働省の鰐淵副大臣が、「ことしの春闘の賃上げ率は高い水準となっていて、この流れを非正規労働者や中小企業にも波及させていくには、最低賃金による底上げも大変重要だ」と述べました。

今年度の議論で、労働者側は物価高が続くなか、働く人の暮らしが厳しさを増しているなどとして、大幅な引き上げを求める見通しです。

一方、企業側は、日本経済の成長に向けて持続的な賃上げは不可欠だとしつつも、近年の賃上げや最低賃金の引き上げ、それに伴う社会保険料の増加が、中小企業や小規模事業所の経営に厳しい影響を与えているなどとして、慎重な姿勢です。

政府は最低賃金を2020年代に全国平均で1500円とする目標を掲げていて、実現には今後2029年度までの5回の改定で、少なくとも445円、平均すると毎回90円近くの引き上げが必要となります。率で見た場合は、毎年7%程度の引き上げが必要となる計算です。

こうした中、今年度、厚生労働省の審議会がどのような目安を示し、最終的にどの程度の引き上げとなるか注目されます。