
マダニが媒介する感染症、SFTS=「重症熱性血小板減少症候群」について、ことしこれまでに全国から報告された患者数は91人と、これまでで最も多かったおととしの同じ時期を上回ったことが、国立健康危機管理研究機構のまとめでわかりました。専門家は「感染が確認されている地域が広がりつつある」として対策を呼びかけています。
SFTS=「重症熱性血小板減少症候群」は、主に原因となるウイルスを持つマダニにかまれることで感染する感染症で、発症したネコやイヌからヒトに感染するケースも報告されています。

国立健康危機管理研究機構によりますと、ことしに入ってから、先月29日までの半年間に報告された患者数は24府県で91人に上り、これまでで最も多かったおととしの同じ時期の82人を上回りました。
地域別に見ると
▽高知県で11人
▽大分県で8人
▽島根県と長崎県で7人
▽熊本県で6人
▽三重県、岡山県、山口県で5人などとなっています。
NHKが、各地の自治体に取材したところ、静岡県、愛知県、三重県、香川県、宮崎県の5つの県で少なくとも9人が死亡したと報告されています。
また、これまでヒトやペットの感染が確認されていたのは九州から東海地方にかけてでしたが先月、関東地方では初めて茨城県でペットのネコの感染が報告されました。

国立健康危機管理研究機構獣医科学部の前田健部長は「感染が確認されている地域が西から東へじわじわと広がりつつある。シカやイノシシといった野生動物が増えているため、これらの動物から吸血するマダニが増えて、患者の増加につながっている可能性がある」と分析しています。

そのうえで「マダニは深い山の中だけでなく林道の脇や田んぼのあぜ道などにもいる。夏にキャンプなどで山に行く際は、肌を出さない服装を心がけ、マダニに有効な虫よけをつけることが重要だ」と対策を呼びかけています。