
プーチン大統領 ウクライナとの対話に前向きな姿勢を強調
アメリカのトランプ大統領が、8月8日の期限までに停戦に応じなければ、ロシアに制裁を科す考えを示す中、プーチン大統領は、ウクライナとの対話に前向きな姿勢を強調しました。その一方で、ロシア側の主張が認められないかぎり、停戦には応じられないとする立場を改めて示しました。
アメリカのトランプ大統領は、8月8日の期限までに停戦に応じなければ、ロシアに制裁を科す考えを示し、7月31日には、ロシアによる攻撃でウクライナで被害が出ていることを受けて「嫌悪感を抱く」と強く非難しました。
ロシアのプーチン大統領は8月1日、記者団に対し「問題を平和的に解決するには、詳細な議論を交わす必要がある」と述べたうえで「交渉は常に必要であり、特に、それが平和への努力である場合は常に重要だ」と述べ、ウクライナとの対話に前向きな姿勢を強調しました。
プーチン大統領としては、トランプ大統領が示した期限を前に、停戦への意欲があると強調したとみられます。
その一方で、プーチン大統領は「重要なことは、この危機を引き起こした原因を取り除くことだ」と述べ、ウクライナがNATO=北大西洋条約機構への加盟を放棄するなど、ロシア側の主張が認められないかぎり、停戦には応じられないとする立場を改めて示しました。
これに対してウクライナのゼレンスキー大統領は「戦争を続けるための時間稼ぎや制裁の延期を図る試みでなければ、いつでも首脳会談を行う用意がある」としています。
ロシア軍 キーウに大規模攻撃 ジェット推進型の無人機使用か
ロシア軍は7月30日から31日にかけてウクライナの首都キーウに対して大規模な攻撃を行い、31人が死亡しました。
この攻撃についてウクライナのクリメンコ内相は7月31日、ジェット推進型の無人機が使われたという暫定的な情報があるとした上で、「ウクライナのインフラ施設などに対して使用されるのは今回初めてではない」と述べました。
ウクライナメディアは専門家の話として、使用されたのはイラン式の「シャヘド」型無人機にジェットエンジンを搭載したタイプで、従来より大幅に高速化して、時速550から600キロで飛行でき、高度も高いことから、探知や迎撃が難しくなっていると伝えています。
米の専門家 “無人機の戦い ウクライナとロシアとの差縮まる”
ウクライナ情勢に詳しいアメリカの軍事専門家、マイケル・コフマン氏は、現地の視察に基づく前線の最新の分析結果をSNS上で公表し、これまでウクライナ軍が優位に立ってきた無人機をめぐる戦いでロシア軍との差が縮まりつつあると指摘しました。
このなかでコフマン氏は、ウクライナ軍は、2024年、無人機部隊を拡充することで兵士不足を補い、ロシア軍を消耗させ、前線を維持してきたものの、現在はロシア軍が無人機の運用を改善し、ウクライナ側の優位性が低下しているとしています。
ロシア軍は、電波妨害を受けない光ファイバーを使った無人機を使用し、ウクライナ軍の無人機の拠点を破壊したり迎撃を行ったりしているとしています。
一方、依然として無人機戦においてウクライナ側の優位性が失われたわけではないとも指摘し、これを維持するためにはウクライナ側は新たな方法を模索する必要があると分析しています。
また、歩兵戦では、ロシア軍が3人程度の少人数の部隊を編成して進撃し、戦車などを使用した攻撃は少なくなっていると指摘しています。
これによって、ロシア軍は多くの歩兵の死者を出しながらも、一部はウクライナ軍の陣地を突破しているということです。
コフマン氏は、ウクライナにとって無人機部隊だけでは前線を安定させるのに不十分なおそれがあり、欧米諸国からの継続的な支援などが必要だとしています。