
ノーベル委員会委員長 都内で講演 “被爆者の活動は世界の光”
去年、日本被団協にノーベル平和賞を授与した、ノルウェー ノーベル委員会のフリードネス委員長が、27日、都内で講演し「被爆者が行ってきた活動は世界が必要としている光だ」と述べたうえで、若い世代の人たちが被爆者の体験を語り継いでいくよう呼びかけました。

フリードネス委員長は27日、上智大学で開かれた核軍縮に関する催しに出席し、日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の田中熙巳代表委員らとともに記者会見しました。
フリードネス委員長は「受賞者の母国を訪問することは委員会として今までにないことで、その目的は、原爆によってもたらされた大きな苦しみや痛みを平和のための力に変えた被爆者から学び、その声に世界が耳を傾けるべきだと考えたからだ。日本被団協の受賞以降、反核の動きが広がっていると見聞きしており、被爆80年が転換点になればと願っている」と話していました。
このあと講演を行ったフリードネス委員長は「われわれは現在、不安定な核の時代に突入する瀬戸際にある。そのような状況だからこそ、核兵器の実態を記憶するために被爆者が行ってきた活動は世界にとって重要であり、世界が必要としている光だ」と述べました。
その上で、若い世代に向けて「あなた方が未来における記憶の管理人であり、この真実の新たな世話役だ。被爆者の物語を語り、歴史を学び、忘却を拒否するために声をあげよう」と呼びかけました。
日本被団協 田中代表委員 “日本で催し開催 光栄なこと”

フリードネス委員長とともに記者会見した日本被団協の田中熙巳代表委員は「被爆者の平均年齢も86歳を超え、自分たちだけでできることが限られてきた中で、ノーベル委員会が日本で催しを開いてくれて、広島や長崎を訪れて実際に目で見ていただけたことは、私たちにとってもうれしく、光栄なことだ」と述べました。
その上で「日本被団協の平和賞受賞は、世界の市民が核の脅威に気付くきっかけとなり、被爆者の証言を聞きたいという依頼が各国から寄せられていて、世界中で核兵器をなくさないといけないという世論が高まっていると感じる。核兵器による被害の非人道性を伝える証言をもっと強くしていかないといけないという役目を課せられたと思っており、これからも頑張っていきたい」と話していました。