トランプ政権 日本から輸入品25%関税課されたら? 国内経済は | NHK

トランプ政権-日本から輸入品25%関税課されたら?-国内経済は-|-nhk

トランプ政権が通知したとおり日本からの輸入品に25%の関税が課された場合の影響について、国内のシンクタンクは、ほかの関税措置も合わせると輸出の減少や関税コストを負担する企業の採算の悪化などによって日本の実質GDP=国内総生産は大きく押し下げられると試算しています。

アメリカへ輸出する製造業から懸念の声

9日から千葉市で始まったものづくりの技術を紹介する展示会でも、参加した企業から業績への影響を懸念する声が聞かれました。

メガネフレームの材料製造「需要鈍り見通し明るくない」

福井県に本社があり、メガネフレームの材料を製造している会社は、取引先のメーカーがアメリカにメガネを輸出していますが、ことし4月にトランプ政権が10%の一律関税を発動した際には、取引先から生産計画を見直すという声が聞かれたということです。

取締役 山内一慶さん

さらに今回、トランプ大統領が日本からの輸入品に対して来月1日から25%の関税を課すと明らかにしたことについて、取締役の山内一慶さんは「新たな関税措置が発動されると需要が鈍ってくると思うので決して見通しは明るくないと感じている」と話していました。

半導体製造装置の特殊ネジ製造「価格転嫁できず利益圧迫」

半導体の製造装置などに使われる特殊なネジを製造している岐阜県の部品メーカーは直接、アメリカに製品を輸出しています。

会社によりますと、鉄鋼やアルミニウムに対して50%の関税が課されていて、アメリカにある販売子会社が負担しているということです。

今枝光宏 常務

「50%の関税のうち、25%分は販売価格に転嫁できているが、残りの半分は転嫁できず、利益が圧迫されている。先が読めないので自社の商品に価値を感じてもらえるよう取り組んでいきたい」

関税率25% シンクタンクが影響試算

大和総研 久後翔太郎シニアエコノミスト
関税率が25%となった場合、すでに発動されている自動車や鉄鋼などへの関税や中国に対する関税措置の影響分も含めると、日本のことしの実質GDPは1.3%押し下げられる可能性があるとしています。

日本総研 藤本一輝研究員
25%の関税と自動車などへの追加関税で日本企業は価格競争力が下がり、アメリカへの輸出が年間で4兆4000億円から6兆5000億円減ることで今年度の日本のGDPの伸び率は事実上のゼロ成長になると試算しています。昨年度=2024年度は日本のGDPの伸び率は実質で0.8%でした。

「実際に関税が25%に引き上げられた場合、企業の収益は悪化し、設備投資を控える動きなどが加速するおそれがある。ここ数年順調だった賃上げの動きも鈍ることが予想され、そうなれば私たちの暮らしにも悪影響が広がるとみられる」

銅や医薬品への関税について「日本の輸出産業にさらなる打撃を及ぼす可能性があり、GDPの下押し圧力は拡大するだろう」

関税措置への反応は

石破首相「国益は必ず守る」

石破総理大臣は佐賀市で演説し「日本の国益をどうしても守っていかなければならない。農業や自動車をめぐり政府・与党を挙げて全力で戦っている時に『あれがいかん、これがいかん、不十分だ』と国内が割れて、どうして交渉に勝つことができるのか。私たちは国益は必ず守る。アメリカのトランプ大統領の言っていることで受け入れるべきは受け入れるが、譲れないものは絶対に譲れない」と述べました。

ASEAN加盟国からも懸念

ASEAN=東南アジア諸国連合の一連の外相会議が9日からマレーシアで始まり、加盟国からはアメリカの関税政策を念頭に一方的な関税措置は、ASEANの経済成長や安定に影響を与えるおそれがあるといった懸念が表明されたということです。

会議は非公開で行われ、外交筋によりますと複数の加盟国から「一方的な関税措置は、ASEANの経済成長や安定に影響を与えるおそれがある」といった懸念が相次いで表明されたということです。

各国は今後も協調して対応を検討することを確認したということです。

10日は、アメリカのルビオ国務長官とASEAN加盟国の外相会議も行われる予定でトランプ政権の関税政策をめぐって議論が行われるとみられます。

カナダ外相「企業や労働者は深刻な影響を実感している」

カナダのアナンド外相は9日、都内でNHKの単独インタビューに応じました。

アナンド外相は、アメリカのトランプ政権の関税措置について「鉄鋼とアルミニウム産業は関税によって打撃を受け、自動車産業も影響を受けている。カナダの企業や労働者は深刻な影響を実感している」と述べた上で今月21日までに交渉を通じて合意を目指す考えを強調しました。

一方、トランプ大統領が「カナダはアメリカの51番目の州になるべきだ」などと主張していることについてアナンド外相は「カナダは決してそうなることはない。以上だ」と強く反発しました。

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