
イタリアで開かれていた、ウクライナの復興について話し合う会議は、11日閉幕し、イタリアのメローニ首相は、日本円にして1兆7000億円を超える資金の拠出が約束されたと明らかにし、支援を継続する姿勢を強調しました。

ロシアの軍事侵攻が続くウクライナの復興について話し合うため、各国の政府や企業の関係者が参加してイタリアのローマで開かれていた会議は、2日間の日程を終え、11日、閉幕しました。
10日に演説したイタリアのメローニ首相は、今回の会議では総額100億ユーロ、日本円にして1兆7000億円を超える資金の拠出が約束されたと明らかにし、支援を継続する姿勢を強調しました。
また、EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は、ドイツやフランスなどと共同で新たな復興基金を設立すると発表するなど、支援の表明が相次ぎました。
一方、ウクライナ各地ではロシア軍の大量の無人機などによる攻撃が繰り返されていて、ゼレンスキー大統領は防空システムの供与を訴えています。
ウクライナのメディアは11日、アメリカのトランプ政権でウクライナを担当し、今回の会議にも参加したケロッグ特使が、今月14日から首都キーウを訪問すると伝えており、防空システムの供与などで具体的な進展につながるかが注目されます。
前駐ウクライナ大使“トランプ政権 支援姿勢明確にしつつある”
前の駐ウクライナ大使で、今回の会議にウクライナの電力会社の諮問委員として参加した松田邦紀さんは、現地でNHKの取材に応じ、アメリカのケロッグ特使が会議の中でウクライナの復興のため投資を呼びかけたことなどに触れ「トランプ大統領とアメリカの政権が、ウクライナの復興に対する姿勢をしっかりとさせてきている」と述べ、トランプ政権がウクライナへの支援の姿勢を明確にしつつあるという見方を示しました。
また、日本がウクライナへの支援を継続する意義については「国際社会の法と秩序を守るという点で、日本の安全保障に直結する。経済的には復興支援に参加する日本企業にもプラスとなる」と述べました。
一方、現在もウクライナ全土に日本政府から「退避勧告」が出ていることについては「ウクライナでは、地域経済や社会生活が徐々に戻ってきている。安全に十分に配慮しながらも渡航制限については今後とも見直しが行われていくというふうに期待している」と述べ、企業が復興事業に参加するためにも、渡航制限の緩和も含めて検討していく必要があるという考えを示しました。