トカラ列島近海では地震活動が活発になってから21日で1か月となり震度1以上の揺れを観測する地震は、これまでに2200回近くにのぼっています。気象庁は、当面、最大震度6弱程度の地震に注意するよう呼びかけています。 鹿児島県のトカラ列島の悪石島や小宝島付近では、先月21日から地震活動が活発になり、21日で1か月がたちました。 この間、悪石島では、震度6弱の揺れを今月3日に観測したほか、震度5強を3回、震度5弱も3回観測しています。また、小宝島でも震度5弱の揺れを1回観測しています。 トカラ列島近海では、震度1以上の揺れを観測した地震が、21日午前5時までに2196回にのぼり、ここ数日では、19日が15回、20日が6回で、21日は午前5時までに起きていません。 おととしや4年前にも活発な地震活動がありましたが、今回の地震の回数は過去のケースを大きく上回っています。 気象庁は、震源が浅く観測点に近いと震度が大きくなるとして、当面、最大震度6弱程度の地震に注意するよう呼びかけています。 十島村 島民への支援を継続 地震が相次ぐ中、今月4日以降、希望した悪石島と小宝島の一部の住民が島外避難を行い、今も鹿児島市内のホテルなどで避難を続けている人がいます。 一方、避難生活が長引く中先週からは、避難した悪石島の住民のうち希望して島に戻っている人もいて、村営のフェリーで19日も8人が帰島しました。 村によりますと、20日の時点で悪石島に40人小宝島に31人の住民がいるということです。 村は現地に看護師などを派遣していて、引き続き心身のケアなど支援を続けることにしています。 専門家「地震活動はすぐには終息しない」 東京大学 平田直名誉教授 トカラ列島近海の地震活動について、政府の地震調査委員会の委員長で東京大学の平田直名誉教授は、少しずつ穏やかになっているものの、すぐには終息しないという見解を示したうえで、引き続き、最大震度6弱程度の揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけています。 トカラ列島近海で先月21日から地震活動が活発になっている要因について、平田名誉教授は観測点が少ないためメカニズムを説明することは極めて難しいとしたうえで、マグマの活動の可能性を挙げています。 トカラ列島の悪石島から南西におよそ50キロ離れた宝島では、一連の地震活動が始まってから地殻変動の向きがこれまでの南東方向から東北東や南の方向に変わったことが国土地理院の観測で分かっています。 また、海上保安庁などが過去に行った周辺の海底の調査では火山活動を示すデータが確認されていることから、平田名誉教授は地下から上昇したマグマが岩盤を押し広げたことで地震が起きやすくなったのではないかと指摘しています。 そのうえで、宝島の地殻変動の向きが変わったのはマグマの通り道が変わったことによる可能性もあるとしています。…