
インド西部で旅客機が墜落して乗客乗員など270人以上が死亡したとみられる事故から、7月12日で1か月となります。インドの航空当局は、これまでの調査結果をまとめた報告書を近く公表するとしていて、原因究明につながるのか注目されます。
インド西部グジャラート州のアーメダバードで6月12日、アーメダバードからイギリスに向かっていた「エア・インディア」の旅客機が墜落した事故では、救出された乗客1人を除く乗客乗員241人が死亡しました。
地上でも医科大学の寮にいた学生らが巻き込まれ、死者はあわせて270人以上に上るとみられています。
墜落したボーイング787型機は日本をはじめ世界の航空会社でも広く使われており、インドのナイドゥ民間航空相は11日、地元メディアに対し、これまでの調査結果をまとめた初期段階の報告書を近く公表する考えを示しました。
アメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は10日、関係者の話として、エンジンへの燃料供給を制御するスイッチが切られていた可能性があり、操縦士の操作が適切だったかどうかを中心に調査が進んでいると伝えていて、原因究明につながるのか注目されます。
インドの元事故調査官で航空安全に詳しいキショール・チンタ氏は「エンジンに問題が見つかった場合、同じエンジンを使用するすべての航空機の検査を指示するほか、人的要因が関与していた場合、是正措置を講じるべきだ」と指摘しています。
妻を亡くした男性 “原因究明と再発防止の徹底を”

墜落した旅客機に乗っていて死亡したヤスミン・バーラさん(51)の夫、ヤシンさん(58)がNHKの取材に応じました。
ヤシンさんによりますと、ヤスミンさんはアーメダバードからおよそ100キロ離れたところにある自宅から息子夫婦が暮らすロンドンに向かおうとしていました。
出産を控えた息子の妻の手助けをしたいと話していたといいます。
墜落から1か月がたったいまの心境について、ヤシンさんは「妻を失った心の穴を埋めることができません。夜も眠ることができずとても寂しくなります。このようなことが二度と起こらないように、政府にはしっかりとした対応をとってほしいです」と、涙ながらに原因究明と再発防止の徹底を訴えていました。
一方、墜落した現場は地元の医科大学の学生寮や住宅が建ち並ぶ市街地で、地上でも多くの死傷者が出ました。
当時、学生寮にいて、頭などに全治2週間のけがをしたという男子学生は「いつも一緒に食事をしたり、ともに過ごしたりしていた友人や同級生を亡くしました。飛行機が発着する大きな音を聞くたびに、あの日のことを思い出します」と不安そうに話していました。