がん治療薬の効果高める腸内細菌を発見 マウスでの実験成功

医療・健康

がんの治療薬の効果を高める腸内細菌を発見し、薬とともにマウスに投与することでがんを小さくする実験に成功したと国立がん研究センターなどのグループが発表しました。薬の効果が低い患者に対する新たな治療法の開発につなげたいとしています。

患者の免疫の力を回復させてがん細胞を攻撃する「免疫療法」の治療薬は十分な効果がみられるのは全体の半数以下で、腸内細菌との関係が指摘されていますが詳しい仕組みは分かっていません。

国立がん研究センター研究所の西川博嘉分野長などのグループは免疫療法の薬で治療を受けたがん患者50人から便を採取し、薬の効果と腸内細菌の関係を調べました。

その結果、薬の効果が高かった患者は「YB328」という腸内細菌が多いことが分かったということです。

がんのあるマウスから腸内細菌を取り除いたうえで、YB328と、薬の効果が低かった患者から採取した別の腸内細菌を薬とともにそれぞれ投与して比べたところ、YB328を投与したマウスではがんが小さくなりました。

さらに別の実験でこの腸内細菌が免疫細胞を活性化することも確認したということで、グループはYB328ががんの治療薬の効果を高めていると結論付けています。

西川分野長は「YB328を使えば薬の効果が低かった患者でも効果を高められる可能性があり、飲み薬の開発につなげたい」と話していました。