マダニが媒介する感染症、SFTS=「重症熱性血小板減少症候群」について、ことしこれまでに全国から報告された患者数は速報値で135人で、おととしの1年間の累計を上回り、過去最も多くなりました。 これまで感染が確認されていなかった地域でも患者が報告されていて、厚生労働省は注意を呼びかけています。 SFTSは主に原因となるウイルスを持つマダニに刺されることで感染する感染症で、発症したネコやイヌからヒトに感染するケースも報告されています。 国立健康危機管理研究機構によりますと、ことしにはいってから今月10日までに報告された患者数は速報値で135人に上り、これまでで最も多かったおととしの累計を上回り、過去最も多くなりました。 感染者が報告されているのは31道府県で、高知県で14人、長崎県、大分県で9人、島根県、熊本県で8人、愛知県、兵庫県、山口県、鹿児島県で7人など、西日本を中心に患者が多くなっていますが、ことしはこれまで感染が確認されていなかった関東地方や北海道でも患者が報告されています。 厚生労働省は西日本に限らず他の地域でも患者が報告される可能性があるとして、マダニに刺されないよう野外で肌の露出を減らすなどの対策を周知するよう自治体に通知を出して注意を呼びかけています。 どんな症状?感染を防ぐには?専門家に聞く 長崎大学病院総合感染症科 泉川公一教授 どんな症状が出るの?感染を防ぐにはどうしたら?受診のタイミングは?SFTSの診療に詳しい長崎大学病院総合感染症科の泉川公一教授に詳しく聞きました。 SFTSはどんな病気? 主にウイルスを持ったマダニに刺されて感染する病気で、発症すると発熱や倦怠感といった症状が現れます。重症化すると、血液中の血小板と白血球が減少して、出血が止まらなくなったり、重症化すると意識障害や肝臓や腎臓の障害が起きたりして死亡することもあります。死亡率は25%から30%と言われています。 マダニはどんなところにいる? マダニは山奥だけではなく、人が住む場所に近いところにも生息しています。これまでみた症例では、家の近くで畑作業をしていてマダニに刺され、SFTSを発症したというケースもありました。また、マダニだけでなく、感染したネコやイヌからヒトへの感染も確認されています。普段は家の中で過ごしているペットでも、散歩などの際にマダニに刺されて感染し、そこから唾液など体液を介して飼い主に感染してしまう可能性もあるので注意が必要です。 どうして感染が確認された地域が広がっている? 詳しい調査が必要ですが、ウイルスを持つマダニの活動範囲が広まっていたり、ウイルスをもったマダニの数が増えていたりする可能性があります。 どんな対策が有効? まずはマダニに刺されないことが重要です。畑仕事や登山、キャンプなどの際は、肌を露出しない格好で活動してください。防虫剤も有効です。ディートやイカリジンが含まれる防虫剤に効果があるといわれています。 マダニに刺されたらどうしたらいい? 流行している地域でも、ウイルスを持っているマダニは非常に少ないといわれているので、パニックになる必要はありません。あわてて皮膚からとりたくなると思いますが、うかつにとってしまうと、マダニの口の一部が残ってそこから化のうしてしまうことがあります。マダニに刺されていることがわかったら、皮膚科でとってもらってください。その後、最長2週間ほど体調に変化がないか気をつけてほしいです。 どんな症状が出たらSFTSを疑ったらいい?…