「外免切替」 観光客などの短期滞在者には認めない方針 警察庁
外国で取得した運転免許証を日本の免許証に切り替える手続き「外免切替」について、警察庁は原則として住民票の写しで住所確認を行い、海外からの観光客などの短期滞在者には認めない方針を固めました。11日からパブリックコメントで意見を募ったうえで、ことし10月から制度を改正したいとしています。
「外免切替」は外国の免許証を持っている人が日本での運転に必要な知識や技能があると認められれば日本の運転免許証を取得できる制度で、警察庁によりますと、去年1年間にこの制度で日本の免許証を取得した外国人は、6万8000人余りにのぼり過去最多となりました。
この制度をめぐっては先の国会で「日本に住民票がない観光客なども、ホテルなどの一時滞在場所を『居住地』として認めることは事故を起こしたときなど、取締りに影響が出るのではないか」とか、「知識確認のための問題が簡単すぎて、日本の交通ルールをよく理解していないのではないか」といった指摘が相次ぎ、警察庁が見直しを検討していました。
その結果、警察庁は「外免切替」について国籍にかかわらず、原則として住民票の写しで申請者の住所を確認し、観光客などの短期滞在者には認めない方針を固めました。
警察庁が15の国と地域を対象に「外免切替」の制度を調査したところ、日本のように観光客にも認めているところはなかったということで、「観光客が日本で運転する際には『外免切替』ではなく、ジュネーブ条約に基づく国際免許証の取得などを求める」としています。

また、手続きの際に日本の交通ルールの理解度を確認する「知識確認」については現在の10問から50問に増やしたうえで、90%以上の正答率を必要とし、車に乗車して行われる「技能確認」も採点を厳格化するということです。
警察庁は11日からパブリックコメントで意見を募ったうえで、ことし10月1日から制度を改正したいとしています。
外国籍の人が日本で車を運転するには
外国籍の人が日本で車を運転するためには
▽「ジュネーブ条約」に基づく国際免許証を取得する方法
▽外国で取得した運転免許証に領事機関などが発行する日本語の翻訳をつける方法
それに
▽日本の教習所に通ったり、外国で取得した運転免許証を日本の免許証に切り替える手続き「外免切替」を行ったりして、日本の運転免許証を取得する方法の3つがあります。
「ジュネーブ条約」に基づく国際免許証は条約に加盟しているおよそ100の国と地域で取得できる一方、中国やベトナムなど、条約に加盟していない国では取得できません。
また、外国で取得した運転免許証に日本語の翻訳をつける方法は、日本と同じような免許制度がある
▽スイス
▽ドイツ
▽フランス
▽ベルギー
▽モナコ
▽台湾のみが対象となっています。
一方で、「外免切替」は外国の免許証を持ち、日本の試験場で運転に必要な知識や技能があると認められれば、日本の運転免許証を取得できる制度です。
この制度は1933年に運用が開始され、外国で免許証を取得した日本人が帰国後に日本の免許証に切り替える際などに利用されてきました。
近年では日本を訪れる外国人の増加に伴い、観光客などの短期滞在者も「外免切替」の制度を利用するようになったということで、警察庁によりますと、去年1年間に「外免切替」で日本の免許証を取得した人のうち、外国人は全体の94%にあたる6万8623人にのぼり過去最多となりました。