筑波大学などの研究グループは、「かぜに抗菌薬を処方する」といった患者にメリットが少ないとされる医療を、医療機関を外来で受診した患者の10人に1人が受けていたとする調査結果をまとめました。

筑波大学の宮脇敦士准教授らのグループは患者にメリットが少ないとされるいわゆる「低価値医療」がどのくらい行われているのか調べようと、アメリカの専門医の団体が作ったリストなどをもとに具体的な治療や検査を選びました。

選んだのはかぜに抗菌薬を処方、かぜにたんの薬を処方、骨粗しょう症に1年間で2回以上の骨密度検査を行うなど、身近な病気の治療や検査10種類です。

そして、おととし9月までの1年間に全国の診療所を外来で受診した患者、254万人余りのデータで検証した結果、こうした医療を27万6000人余りが受けていたということです。

これは患者の10人に1人が1年間に少なくとも1回受けた計算になります。

また、こうした医療を行う医師は偏る傾向があり、およそ10%の医師が「低価値医療」全体の半数近くを行っていたということです。

宮脇准教授は「低価値医療が増えると医療財政に影響しかねず、減らす対策が必要だ。患者の側も医師や家族とコミュニケーションをとり、薬や検査について十分理解することが大切だ」と話していました。