「スーパーマンは移民だ」監督が説明 人気映画も論争の的に | NHK

「スーパーマンは移民だ」監督が説明-人気映画も論争の的に-|-nhk

「スーパーマンは移民だ」監督が説明 人気映画も論争の的に

映画

アメリカでトランプ政権の移民政策が議論になる中、このほど公開された映画「スーパーマン」の最新作の監督が「スーパーマンは移民だ」と説明したことが保守的なコメンテーターなどから反発を招き、論争の的になっています。

「スーパーマン」は別の星から地球に逃れ、アメリカ人の夫妻に育てられたヒーローが超人的な能力で活躍するストーリーで、映画の最新作がアメリカや日本などで今月11日、公開されました。

最新作について、ジェームズ・ガン監督はイギリスの「タイムズ」紙の今月4日の記事の中で「スーパーマンはアメリカの物語だ。ほかの場所から来てその国で暮らす移民だ」と説明しました。

これに対してトランプ大統領の支持者や保守的なコメンテーターなどからは「イデオロギーを押しつけるものだ」などと反発する意見が相次いでいます。

このうち保守系ウェブメディアの創設者は「スーパーマンはすべてのアメリカ人のものだ。映画は政治的な意図を押し出している」と話していました。

一方、映画を見た人は「スーパーマンは移民として義務を果たし、この国に尽くしている」などと話していました。

アメリカでは先月、ロサンゼルスでトランプ政権が滞在資格のない移民の一斉摘発を行い、抗議デモで混乱が広がるなどしていて、人気映画も論争の的になっています。

ガン監督は映画会社がネットに公開した動画の中で「私たちが住む世界は決していいとは言えません。私が考えるスーパーマンはとても優しく思いやりがあります。スーパーマンには強さより優しさが大切なのです」と話しています。

スーパーマン “アメリカのスーパーヒーローの原点”

スーパーマンは1938年に発行されたアメリカのコミックに初めて登場し、アメリカのスーパーヒーローの原点とも呼ばれています。

滅亡の危機にひんした惑星クリプトンから乳児の時に地球に来て、アメリカ中西部カンザス州の夫婦のもとで育てられ、超人的な能力でヒーローとして活躍する一方、ふだんは正体を隠し、新聞記者クラーク・ケントとして働いているという設定です。

こうした設定は原作者の2人の親がヨーロッパからアメリカに逃れたユダヤ人移民だったことも反映されているとも言われています。

スーパーマンの公式フェイスブックページは6年前、6月20日の「世界難民の日」にメッセージを掲載し「スーパーマンは常に勇気の模範であり、最高の人間性を示してきた。鋼鉄の男の物語はみずからの新しい故郷をよりよくする1人の難民の究極の例だ」と移民や難民への連帯を表明しました。

トランプ大統領支持者や保守的コメンテーターは反発

「スーパーマンは移民だ」とする監督の説明に、アメリカではトランプ大統領の支持者や保守的なコメンテーターから「ひどい例えだ」とか「映画館に行くのは誰かに説教されたり、イデオロギーを押しつけられたりするためではない」などと反発の声が上がっています。

このうち南部テネシー州ナッシュビルの保守系ウェブメディアの創設者はNHKの取材に対して「見にいくのを楽しみにしていたが、政治的な意図を押し出しているのを見て行く気が失せてしまった」と話していました。

そして「スーパーマンは民主党でも共和党でもなくすべてのアメリカ人のものだ。アメリカの政治が大きく混乱している時に、この映画を政治的な映画と特徴づけてしまうことは大きな損失だ」と批判しました。

英 タイムズ紙 ガン監督インタビュー 映画の紹介記事を掲載

イギリスの「タイムズ」紙は今月4日「私の新しいスーパーマンに腹を立てる人もいるだろう」というタイトルで、ジェームズ・ガン監督にインタビューした映画の紹介記事を掲載しました。

このなかでガン監督は「スーパーマンはアメリカの物語だ。ほかの場所から来てその国で暮らす移民だ」と説明したと報じています。

さらに記事は「スーパーマンの原作者は移民の家庭の出身だ」と紹介し、「UNHCR=国連難民高等弁務官事務所が“スーパーマンも難民だった”という本を出したことがある」としています。

ガン監督は映画会社がネットに掲載した動画の中で「私が当初から作りたかったのは善良で優しい心を持った人物を主人公にした話でした。なぜなら私たちが住む世界は決していいとは言えません。『優しさ』というものが最も反逆的でパンクロックだと言われる世界です。だから私が考えるスーパーマンはとても優しく思いやりがある男です。スーパーマンには強さより優しさが大切なのです。結局のところこの映画には切なさがあります。スーパーマンは実在しないからです。でも願わくは映画を見た人たちに自分もスーパーマンになれると思ってほしいです。私の願いはこの映画を見た子どもたちが15年後、スーパーマンになって世界を救ってくれることです」と話しています。

スーパーマンの姿したトランプ大統領の画像をSNSに

ホワイトハウスは今月10日、スーパーマンの姿をしたトランプ大統領が飛び立っているような画像をSNSに投稿しました。

画像にはスーパーマンのかつてのキャッチフレーズである「真実、正義、そしてアメリカン・ウェイ」と書かれています。

このキャッチフレーズは第2次世界大戦中にラジオの中で使われ、スーパーマンの愛国心を強調するものとして定着しましたが、2021年には、グローバルな展開を意識して「真実、正義、そしてよりよいあす」に変更されています。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *