映画「国宝」 ことしの実写映画では異例のヒット 2025年7月26日 5時35分 映画 歌舞伎を題材にした映画「国宝」が、ことしの実写映画では異例のヒットとなっていて、歌舞伎そのものへの関心も高まっています。 映画「国宝」は、任きょうの家に生まれた主人公が歌舞伎に人生を捧げ、女形として人間国宝に上り詰めるまでの半生を描いた作品です。 上映時間がおよそ3時間という大作ながら、難しい歌舞伎の演目に次々と挑む主演の吉沢亮さんらの熱演が話題となり、配給する東宝によりますと、先月6日の公開から24日までの興行収入は71億円を超え、ことし公開の実写映画としては現時点で1位だということです。 25日夜、都内では映画のヒットを記念した舞台挨拶も行われ、吉沢さんは「公開から1か月半が経った今もたくさんの方にこの作品に出会っていただき、熱が冷めない状態が続き、うれしく思っています」と語りました。 映画の影響で歌舞伎そのものにも関心高まる この映画の影響で歌舞伎そのものにも関心が高まるなど、その影響が広がっています。 歌舞伎を興行する松竹によりますと、映画「国宝」を見たという人からの「本物の歌舞伎を見たい」といった問い合わせがチケットの窓口や歌舞伎座などで急増し、実際にチケットの販売実績も伸びているということです。 映画をきっかけに東京の歌舞伎座に初めて歌舞伎を見に来たという神奈川県の20代の女性は「2週間前に映画を見て本物が見たくなり、インターネットで“7月” “歌舞伎”と検索して初めてチケットを購入しました。本物の歌舞伎は音も衣装もすごくて迫力がありました。また見に来たいです」と話していました。 また、映画に出てきた演目を見たいという要望を受けて、過去の舞台公演を映画館で上映する「シネマ歌舞伎」で「京鹿子娘二人道成寺」を先月下旬から取り上げたところ好評で、今月18日からは同じく映画に出てきた「鷺娘」や「連獅子」も上映しています。 松竹は「どうすれば観劇できるのかという投稿がSNS上でも多数見られ、本作品の反響の大きさを認識しています」とコメントしています。 原作本の売れ行きや書籍の朗読サービスも好調です。 映画の原作となった吉田修一さんの小説「国宝」は2018年に発表された上下巻にわかれる大作ですが、朝日新聞出版によりますと、先月の映画の公開後、本の売り上げが急速に伸び、発行部数は文庫だけで累計120万部を超え、書店では一時、品薄になることもあったということです。 また、書籍の朗読を聴けるサービス「オーディブル」では歌舞伎俳優の八代目尾上菊五郎さんが菊之助時代に朗読を担当し、上下巻それぞれおよそ10時間に及ぶ再生時間にもかかわらず、先月は上巻が1位、下巻が3位にランクインし、今月も勢いを保っているということです。