タイとカンボジアが領有権を争う国境地帯で、24日起きた双方の軍による武力衝突では、タイ側で12人が死亡しました。タイ側の国境に近い地域では、10万人以上の住民らが避難していますが、両国とも攻撃を続ける姿勢を崩しておらず、緊迫した事態が長期化することも懸念されています。

タイとカンボジアの国境地帯で、24日、両国の軍の間で武力衝突が起き、その後、カンボジア側からの砲弾がタイ側のコンビニエンスストアや病院付近に着弾するなど、衝突は国境地帯の各地に広がりました。

タイの保健省は、タイ側ではこれまでに地元住民11人、兵士1人のあわせて12人が死亡し、30人以上がけがをしたとしています。

これに対しタイ軍は、戦闘機でカンボジア軍の部隊を攻撃したとしていますが、カンボジア側の被害の情報は伝えられていません。

タイ政府は、国境に近い地域の住民に避難を呼びかけていて10万人以上の住民らが学校などに避難したと発表しました。

タイとカンボジアは長年、国境地帯の領有権を争っていて、ことし5月に銃撃戦が起きてカンボジア軍の兵士1人が死亡したのをきっかけに緊張が高まりました。

タイ軍の報道官は、今回のカンボジアの攻撃を非難し、「タイの主権を守るため最大限の能力を使って行動する」と述べました。

一方、カンボジアのフン・マネット首相は、国連安全保障理事会の緊急会合の開催を要請するとともに、「武力による侵略には武力で対抗するしかない」と述べていて、緊迫した事態が長期化することも懸念されています。

国連事務総長 両国に最大限の自制を求める

国連のグテーレス事務総長は24日、「両国に最大限の自制を促し、紛争の永続的な解決策を見いだすため対話と善隣の精神を通じて、あらゆる問題に対処するよう求める」とするコメントを報道官を通じて発表しました。